STORY
ケンカが強く、いつも相手を秒殺してきたリクこと、藤原陸(徳山秀典)。孤独で自閉症ぎみな彼は、人に触られることが嫌いな、まるで狂犬のような青年だった。暴走族・風神から助っ人の仕事を雇われ、マンガ喫茶で寝泊まりをする毎日。幼いときに、暴力を奮う父親に続き、母親も彼の元を去っていた。居場所がなければ、孤独に生きればいい。金がないなら、自らの拳で稼げばいい――それが愛を知らないリク流の生き方だったのだ。
ある日、リクは天才ボクサーと呼ばれながらも、プロテスト受験時に先天的な脳の障害が発見され、プロボクサーの道が閉ざされた棚夫木克海(佐藤祐基)と出会う。あるトラブルから棚夫木にケンカを仕掛けるリクだったが、彼の拳は一発も棚夫木をかすることなく、逆に棚夫木のボディブローを一発受けてノックアウトされてしまう。後日、リクは棚夫木にリベンジするため、彼が所属する「西田ボクシングジム」にケンカを売りに行く。棚夫木不在のため、リクの相手を現役プロボクサー、メガトン山本(渋川清彦)が務めるが、そこでリクはボクシングの洗礼を受けることに。初めて自分の弱さに気付いたリクだが、彼と拳を合わせた山本は、彼に“タナトス(人間の攻撃本能)”の匂いを感じ、ボクサーとしての才能が眠っていることを見抜く。その後、風神のメンバーからも見放され、身も心もボロボロになったリクの前に、棚夫木が現れる。彼はリクを誘い、メガトン山本の試合に連れて行くが、試合会場でリクが間の当たりにしたのは、自分に弱さを教えた山本が呆気なく負ける姿だった。その衝撃以来、リクはボクシングの世界に足を踏み入れていく。
「西田ボクシングジム」での日常は、それまで孤独だったリクにとって、なにもかも目新しかった。彼を慕うジム仲間の宮本(古川雄大)や千尋(平愛梨)など、そこには人との出会いという、過去に感じたことのない温もりがあった。そんなとき、ジム内では西田会長(升毅)が日本でプロデビューできない棚夫木を、メキシコでデビューさせようと画策していた。そこには母親(秋本奈緒美)のために金を稼ぎたい、という棚夫木の強い想いもあったが、脳に爆弾を持った彼の命は危険に侵される。それを察したリクや山本らは棚夫木を止め、彼らは西田ジムを追放されてしまう。やっと見つけた居場所すらなくなってしまったリクだったが、そこに待っていたのは孤独ではなかった。引退後はラーメン屋を経営する山本や、リクが働くマッハ運送の社長(梅沢富美男)らの協力により、「メガトンボクシングジム」が発足したのである。
やがて、プロテストに合格し、東日本新人王ウエルター級王者を目指すことになるリク。一方、棚夫木は事件以来、ボクサーとしての道を捨て、サラリーマンとして懸命に働いていた。そして迎えた、決勝戦当日。リクの相手となるのは、風神のメンバーから鑑別所を経て、「西田ボクシングジム」所属のボクサーとして大躍進していた、須藤(大口兼悟)。
拳で未来をつかみ取る、熱い男たちの運命のゴングが鳴った…。