INTRODUCTION
お金もない、女もいない、夢もなければ希望もない。高学歴を妬み、家庭を持ち始めた同級生をみては、自分だけ取り残された気分になる・・・。 そんな鬱屈した万年モラトリアムなダメ男二人が、ふと「カニを食べたい」という思いからポンコツの軽トラで旅に出ることになった。その道すがら野球部の友達や憧れのマドンナなど色々な“過去”と出会い、自分を見つめなおしていく、そんなせつなくも可笑しい青春ロードムービーが『カニを喰べる。』だ。 主演のダメ男二人には、ミュージカル「テニスの王子様 2ndシーズン」(12~13)で人気を博し、その後舞台「マルガリータ~戦国の天使たち~」(14)などで活躍中の染谷俊之。同じく主演に「テニスの王子様 2ndシーズン」(11~13)、「メサイア 紫微ノ章」(14)で人気急上昇中の赤澤燈が選ばれた。更に『赤い文化住宅の初子』(07)や『1/11』(14)の東亜優が、2人の学生時代の憧れの女性・金子真沙美と、旅の途中で出会う金子そっくりの女性・今井町知子の2役を演じる。メガホンを取るのは、黒澤清や阪本順治、清水崇のもとでキャリアを積み、『おのぼり物語』(10)に続き本作が長編2作目となる毛利安孝。
STORY
定職にも就かず、日雇いのアルバイトで生計を立てている田宮治(染谷俊之)は、ある日いつものようにパチンコ屋から出ると、中学時代の旧友で田宮と共に野球部に所属していた青島豪志(赤澤燈)と再会する。青島もまた、やりたいことが見つからずにその日暮しの生活をしていた。再会するや否や青島は突然、かつての野球部の先輩・長谷川の地元である富山へカニを食べに行くことを提案する。お金も具体的な計画もないまま軽トラックを走らせ、一路富山へ向かう2人。道中、ガソリン代すら持っていない2人は、立ち寄った廃校の体育館で今井町知子(東亜優)と名乗る女性と出会う。町知子は、2人にとって憧れの存在であった中学時代のマネージャーである金子真沙美に瓜二つだった。突然の出会いに困惑する田宮と青島。そして何故か町知子も一緒に富山までカニを食べに行くと言い出すのだったが・・。