INTRODUCTION
ある田舎に住んでいる不思議な絆で結ばれた一つの家族を通して、「家族とは?」「親子とは?」「愛とは?」など、普遍のテーマを真摯に見つめた心温まるヒューマンドラマ。舞台は「有田みかん」で有名な和歌山県の有田川町。本作品は和歌山県のボランティアが制作資金集めから参加し、町の全面協力のもと温泉や広大な山、川など豊かなロケーションのなかで撮影された地元発の作品。
主演は映画・テレビ・舞台などでマルチな才能を見せる女優、黒川芽以。不思議な関係に戸惑いながらも家族の繋がりを見つめなおしていく都会生まれのヒロインを好演。婚約者役には実力派俳優として大きく飛躍し、映画、ドラマ、舞台で大活躍をしている、大東駿介。そのほか清水尚弥や隆大介など、個性的な役者陣が脇を固めている。
監督は原案と脚本そして自身の初長編デビュー作品となる本作を撮り上げた期待の新人、戸田彬弘。
家族の存在が希薄になっている今、他人を認める心の豊かさや家族の素晴らしさを感じさせる心温まる作品。
STORY
智弘(大東駿介)は婚約した真知子(黒川芽以)を連れて、和歌山県有田川町にある実家に帰省してきた。真知子が目撃した智弘の家族は実にいびつな人々だった。腹違いの同級生三兄弟。不登校の弟・隆志(清水尚弥)。猫を異常に可愛がる姉・由美(東亜優)。自分に劣等感を抱える恋愛恐怖症の妹・さやか(中村有沙)。そして、家事を担当する「ママ」里美(竹下かおり)、スナック経営者である美人「カカ」佳代子(高見こころ)、高校教師の「ハハ」と呼ばれる成美(辰寿広美)、そして全員の父親である「チチ」と呼ばれる正一郎(隆大介)。
それぞれを認め合うというルールの中、バランスを保っているように見える家族だが、真知子の目には、それは「何かに逃げている」ように見えた。人と人が一緒に暮らすというのはどういうことなのか、真知子の出現により、時間が止まっていた「いびつな家族」の中に、ある波紋が徐々に広がり始めていった…。