STORY
昭和3 2 年、農業青年・村瀬継蔵は北海道から上京。映画「ゴジラ」で特撮の礎を築いた円谷英二監督のいる東宝映画特殊美術部に入社。デザイン画から「立体像にし生き物化させていく」怪獣造形の世界に浸かることになった。そこで誰もが驚く身近な素材を用いたり、独自の手法を披露し若くして一目置かれる存在に。当時は特撮全盛期で過酷な労働環境…心のモチベーションは「我々は子供たちの夢を造っている」。昭和・平成・令和と年号は代わり特撮ブームは終焉し、数少ない作品もC Gがメインの時代となり、村瀬たちが築いてきた「アナログ怪獣造形」の需要は大幅に減少。過去に手がけた作品の裏話をマニアたちに忌憚なく話す日々に喜びと同時に苛立ちも抱いていた。「俺はまだ引退していない、現役だ」。怪獣造り・アナログ特撮映画への熱量はまだ高いままだった。そして82歳…約半世紀前に自分で書いた「神筆」という怪獣物語を、未経験の監督として映画化することでアナログ特撮の技術を後進に伝えていく使命に駆られ1人動き始める。そこから自信を持ったり失くしたり…思春期の少年のように「挫折」「苦悩」に悩まされながら信じた道を走り続けた男の、80歳代で迎えた青春ドキュメンタリー作品である。